(番外編)これも岐阜県の木の文化 人形浄瑠璃

11月3日(祝)、恵那市で行われた「岐阜県文楽能大会」へ行ってきました。これは、文楽や能を伝承してきた地域を持つ中津川市・本巣市・瑞浪市・養老町・恵那市が持ち回りで1996年から毎年開いているもので、今年で19回目です。私は行くのは初めてでした。

以前「子ども歌舞伎」を行っている団体の数が岐阜県には11もあり、全国でも群を抜いて多いことが新聞に載っていましたが、文楽や能も含め、岐阜県が誇る郷土の伝統だと思います。


さて今回は岐阜県の各団体も良かったのですが、圧巻は徳島県からゲスト出演の「阿波木偶箱まわし保存会」でした。これは木箱に数体の木偶を入れ、天秤棒で担いで移動し、路傍で人気演目を演じた阿波の大道芸だということです。江戸時代から続き、明治初期に200人もの芸人がいたとあります。
1960年代に途絶えたと思われたこの芸能を保存会の人たちが調べていたところ、まだ最後の芸人が現存していることを知り、会員の方が3年間弟子入りして技術を学んだのだそうです。その直後にその師匠が亡くなり、ぎりぎりで伝統文化を継承することができたようです。

 下の写真2枚は「三番叟まわし」。元旦の午前0時から家々を回り、無病息災、五穀豊穣、商売繁盛を祈るもの。今も900軒(!)を回って福を届けるのだそうです。人形遣いが1人、鼓打ちが2人。鼓と合いの手が小気味よく、何ともおめでたい雰囲気。


 続いては、たくさんの人形を舞台に並べて人気演目のクライマックスをメドレーで演じる「箱廻し」。メドレーなのでテンポもよく、また通常の文楽と違い、人形遣いが艶やかな衣装で表情も豊かに演じます。



「日高川入相花王 渡し場の段」のクライマックス。姫の顔が一転・・・。



そもそも、岐阜県のイベントに徳島県からの団体がゲスト出演したのは理由があります。1951年に恵那市で旗揚げした「大井文楽」が、徳島県の人形師がかつて作った頭を使っていることが「阿波木偶箱まわし保存会」の調査で明らかになり、昨年(2013年)徳島市に大井文楽が招かれて82年ぶりの里帰り公演を果たしたのです。今回はその縁を深めるためのお返しの招待でした。

 その阿波の人形師「初代天狗久」の頭を使う恵那市の大井文楽の公演。「傾城阿波の鳴門 巡礼歌の段」。


 太夫は元岐阜県職員でアクティブGの運営に長く携わられた三好さんです。晴れ姿を見させていただきました。素晴らしい語りでした。

この文楽能大会、来年は瑞浪市で開かれるとのことです。
残念なのは専用のホームページがなく、情報を得るのに苦労することです。空席もやや目立ちました。岐阜県が誇る伝統文化として、もっとPRして良いと思います。また、この公演は無料で行われているのですが(県の助成金を受けているためだと思われますが)、少額でも入場料を取るか、それが難しければ各団体の活動への寄付を呼びかけても良いと思いました。こうした伝統を支えるためにお金を出して良いと思う人はたくさんいるはずです。
来賓の挨拶は多かったのですが、保存会の人たち自身が保存活動について語る時間も欲しかったです。また、これらの地域の伝統をもっと多くの子供たちにも見てほしいと思いました。
これからも楽しみにしています。



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