木工で生計を立てられるか

木工の学校を卒業したら、大手の家具メーカーや中小の工房に勤めたり、自ら工房を立ち上げるなどして独立することになります。

かつて日本が成長していた頃は、まだ家庭にはじゅうぶん家具が揃っていませんでした。飛騨高山など全国の産地で家具が大量生産され、家庭や公共施設に納められていきました。また数多くの木工作家たちが様々なスタイルの家具を作り、人気を博しました。いま、木工をめぐる状況は大きく異なります。価格がひとケタも違う輸入品が大量に出回るようになり、日本の産地は厳しい競争を強いられています。家庭には家具が行き渡り、昔ほど需要もなくなりました。メーカーも作家も、好きに物を作っているだけでは、食べていけない時代です。

しかし木工の仕事は、世の中にまったく求められていない訳ではありません。たとえばお年寄りが老後に暮らしやすいよう住宅をリフォームするので、体のサイズや室内空間に合った椅子がほしい、という要望があります。このような場合、輸入品や既製品では要望を満たせないので、お客さんと細かい打ち合わせを重ね、オリジナルの椅子を制作することになります。このような需要は、今後増えると予想されます。

教育現場では、「木育」の需要が高まっています。森や木についての知識とともに、子供に安全に木工をさせる能力を持つ人材が必要とされています。

時代の変化と共に、新しい木工が求められているということです。木工で生活に必要な収入を得るには「自分が何を作りたいか」よりも、「社会は(=お客さんは)いま何を必要としているか」を感じ取ることが大切です。新しい分野を切り開いていく覚悟も求められますが、難しい時代だと悲観的にならずに、大きな夢を持って一歩ずつ進んでいけば、木工で生計を立てることはじゅうぶん可能です。

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