(番外編)木桶仕込みの醤油の蔵元見学

醤油の醸造所が蔵開きをすると聞いて、見学に行ってきました。自宅から自転車ですぐの、山川醸造です。ここは「たまごかけごはんのたれ」などアイデア商品の数々でよく目にしてはいたのですが、行ってみてびっくり。巨大な木桶が並んでいました。さっそく木桶探検ツアーに参加。社長さんがクイズで分かりやすく醤油について解説してくれます。


日本の醤油は5分類され、それぞれ産地があります。
こいくち・・・千葉県野田市(キッコーマン)、銚子市(ヤマサ)など
うすくち・・・兵庫県たつの市(ヒガシマル)など
たまり・・・愛知県、岐阜県美濃地方、三重県北部
白・・・愛知県西尾市
再仕込み・・・山口県柳井市

この山川醸造は、おもにたまりを製造する醸造所だそうです。
たまりはもともと大豆と塩だけで作るのですが、いまでは1〜2割ほどの小麦を入れるそうです。


ここでは仕込みに2年、圧搾など含めれば3年をかけるとのこと。
下の写真は仕込んだ後に底に残ったもろみ。これをさらに圧搾台で搾ります。



木桶のことが気になって尋ねてみました。これだけの大きさの木桶を作れるところは日本全国でもほとんどないからです。

ここの木桶は50年前に先々代が創業された際、酒屋から中古の桶を仕入れて使っているとのこと。酒はしばらく使うと香りがつかなくなり交換が必要になりますが、醤油・味噌の桶は200年使えるそうです。そのため、現状では桶の調達に困ってはおられないとのこと。


こちらには100本の木桶がありますが、これだけの数の木桶があるのは全国でも珍しいようです。
ちなみに醤油醸造所の数は明治期に12000軒もあったものが、現在組合に加入している会社は1350軒、うち自社で醸造している会社は400〜500軒。さらにそのうち木桶を使っているのは100軒に満たないだろうとのことでした。
こうした全国の木桶仕込みの醤油を紹介している「職人醤油」というサイトがあり、そこには40軒弱の会社が登録されています。



タガは竹のものも鉄のものもありました。竹タガは、切れたり傷んだりした際に作り直すのが難しくなり、今は鉄に替えていっているとのこと。昔なら長い竹を2トントラックで運んでも大目に見てもらえたのが、今では法の適用が厳しくなり10トンで運ばなければならない。コストがかかりすぎるのだそうです。


鉄のタガにも問題があります。それは錆びること。塩分を含む醤油や味噌特有の問題です。鉄のタガは緩んだら締め直しも簡単にできるように思いましたが、錆びるために実際は締め直せないとのことです。


木桶の問題は、空っぽにしてしまうと木が縮んで隙間ができること。そのため常に使われているようにしたいのですが、全体の需要が縮小する中で、やりくりが大変とのことでした。


下の写真が圧搾台。機械も錆との戦いだそうです。しかもこうした専用機を作るメーカーは今はなく、メンテナンス代が非常に高くつくとのこと。この辺りの事情は、どこの伝統産業も同じです。


圧搾台で搾りたてのたまり醤油を、なめさせてもらっています。


見学の後は、飲食コーナーを堪能しました。社員さんが総出で、醤油を使ったさまざまな食べ物を販売しています。それらもとても楽しかったので、写真で紹介しておきます。


たまり醤油を味わう釜玉うどん。


醤油ホットドッグ。



岐阜各地の洋菓子店・パン屋とコラボした醤油スイーツ。




「アイスクリームにかける醤油」で味付けするソフトクリーム。みたらしのような味です。


味噌のつかみ取り。1回500円で、最高は4.5kg!自分もやってみましたが1.5kgしかつかめませんでした。


この会社はかつてはほとんどが業務用でおもに東海地方のうどん屋で使われていたため、広報もする必要がなかったそうですが、最近はこだわりの醤油づくりを一般の人に知ってもらう活動に力を入れているとのこと。本当に楽しい蔵開きで、勉強にもなり、これからも応援したくなりました。こういう取り組みはいいですね。






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